2007年 01月 28日

シャルル・ダレ

シャルル・ダレ『朝鮮事情』
シャルル・ダレ(金容権訳)『朝鮮事情』東洋文庫367, 平凡社, 1979.
シャルル・ダレ (Charles Dallet, 1829~1878) フランス人宣教師

道路が無い未開国家
この山国では、道路と運輸機関とが実に不足し、それが大規模な耕作を妨げている。人びとは、各自の家の周囲とか手近なところを耕作するだけだ。また、大部落はほとんどなく、田舎の人びとは三、四軒、多くてせいぜい十二、三軒ずつ、固まって散在している。年間の収穫は、住民の需要をかろうじて満たす程度であり、しかも朝鮮では、飢饉が頻繁にみられる。 (p. 20)

中国の属国
一六三七年に締結された条約は、清に対する朝鮮の実際上の隷属条件を加重することはなかったが、形式的には、これまでよりいっそう屈辱的な従属関係のものとなった。朝鮮国王は清国皇帝に対して、たんに叙任権を認めるばかりでなく、身分上の直接の権限、すなわち主従(君臣)関係まで承認しなければならなくなった。 (p. 34)

王宮すらも小さい未開建築
朝鮮の王宮は、パリの少しでも余裕ある年金生活者でも住むのを嫌がるようなつまらない建物である。王宮は、女と宦官で充ちている。 (p. 53)

不潔で未開
ソウルは、山並みに囲まれており、漢江の流れに沿って位置し、高くて厚い城壁にかこまれた人口の多い大都市であるが、建築物には見るべきものはない。かなり広いいくつかの道路を除いては、曲がりくねった路地だけがあり、この路地には空気も流れることなく、足にかかるものといえばごみばかりである。家はふつう瓦で覆われているが、低くて狭い。 (p. 64)

お金で何でも出来る腐敗国家
官吏の地位は公然と売買され、それを買った人は、当然その費用を取り戻そうと努め、そのためには体裁をかまおうとさえしない。上は道知事から最も下級の小役人にいたるまで、徴税や訴訟やその他のすべての機会を利用して、それぞれの官吏は金をかせぐ。国王の御使すらも、極度の破廉恥さでその特権を濫用している。 (p. 71)

中国の劣化コピー学問
その一つは、朝鮮における学問は、全く民族的なものではないという点である。読む本といえば中国のもので、学ぶ言葉は朝鮮語でなく漢語であり、歴史に関しても朝鮮史はそっちのけで中国史を研究し、大学者が信奉している哲学体系は中国のものである。写本はいつも原本よりも劣るため、朝鮮の学者が中国の学者に比べてかなり見劣りするのは、当然の帰結である。 (pp. 130-131)

科挙試験など無く買収できる両班の地位
昔日のことはさておき、こんにち公開試験〔科挙〕が極めて堕落していることは確かである。こんにちでは、最も学識があり最も有能な人に学位免許状が授与されるのではなく、最も多額の金を持った者や最も強力な保護者のいる人びとに対して与えられている。 (p. 135)

両班地獄
朝鮮の貴族階級は、世界中で最も強力であり、最も傲慢である。他の国々では、君主、司法官、諸団体が貴族階級を本来の範囲内におさえて、権力の均衡を保っているが、朝鮮では、両班の人口が多く、内部では対立しているにもかかわらず、自分たちの階級的特権を保持し拡大するために団結することはよく心得ており、常民も官吏も、国王すらも、彼らの権力に対抗することができないでいる。 (p. 192)

男尊女卑
朝鮮においても、他のアジア諸国と同じように、風俗は甚だしく腐敗しており、その必然的な結果として、女性の一般的な地位は不快なほどみじめで低い状態にある。女性は、男性の伴侶としてではなく、奴隷もしくは慰みもの、あるいは労働力であるにすぎない。 (p. 212)

怠け者
この世では、もっとも良いことでも、常に悪い反面を伴っている。これまで述べた質朴な習慣にも、いくつかの不都合な点がある。その中でももっとも重大なことは、それらの習慣が、一群の悪い奴らの怠けぐせを野放しにすることである。これらの者は、人びとの歓待をあてにして、全く仕事をしないで、あちこちをぶらぶらしながら生活する。もっとも図々しい者になると、豊かな人や余裕のある人の家にまるまる数週間も身を落ち着け、服までも作ってもらう。 (p. 265)

感情的
朝鮮-人は一般に、頑固で、気難しく、怒りっぽく、執念深い。それは、彼らがいまだ浸っている半未開性のせいである。異教徒のあいだには、なんらの倫理教育も行われていないし、キリスト教徒の場合も、教育がその成果をあらわすまでには時間がかかる。大人は不断の怒りを笑って済ませるから、子供たちは、ほとんど懲罰を受けることもなく成長し、成長した後は、男も女も見さかいのないほどの怒りを絶え間なく爆発させるようになる。 (p. 269)

軍隊
しかし不思議なことに、にもかかわらず軍隊は概して非常に弱く、彼らは重大な危機があるとさえ見れば、武器を放棄して四方へ逃亡することしか考えない。たぶんそれは、訓練不足か組織の欠陥のためであろう。有能な将官さえいれば、朝鮮-人はすばらしい軍隊になるだろうと、宣教師たちは確信している。 (p. 270)

強欲浪費家国民
朝鮮-人は、金儲けに目がない。金を稼ぐために、あらゆる手段を使う。彼らは、財産を保護し盗難を防ぐ道徳的な法をほとんど知らず、まして遵守しようとはしない。しかしまた、守銭奴はほとんどいない。いるとしても、富裕な中人階級か商人のあいだにいるにすぎない。この国では、現金の二、三万フランもあれば金持だといわれる。一般に彼らは、欲深いと同時に、無駄づかいも多く、金を持てば余すところなく使ってしまう。 (p. 272)

無駄飯大食らい
朝鮮-人のもう一つの大きな欠点は、暴食である。この点に関しては、金持も、貧乏人も、両班も、常民も、みんな差異はない。多く食べるということは名誉であり、会食者に出される食事の値うちは、その質ではなく、量ではかられる。したがって、食事中にはほとんど話をしない。ひと言ふた言を言えば、食物のひと口ふた口を失うからである。そして腹にしっかり弾力性を与えるよう、幼い頃から配慮して育てられる。母親たちは、小さな子供を膝の上に抱いてご飯やその他の栄養物を食べさせ、時どき匙の柄で腹をたたいて、十分に腹がふくらんだかどうかをみる。それ以上ふくらますことが生理的に不可能になったときに、食べさせるのをやめる。 (p. 273)

未熟な建築技術
朝鮮の家屋は、一般に、非常に小さく不便である。台所の煙を送りだす通管〔房管〕を下に通す必要上、地面よりも少し高く建てられているが、しかしソウルでは、必ずしもこの方法が一般的とはなっていない。これは、冬場をしのぐにはかなり便利であるが、夏場になると、熱気が屋内にこもって、まるで人びとに耐えがたい体罰を課していると同じような状態になるからである。で、おおかたの人は戸外で眠る。 (pp. 300-301)

不潔な人々
衣服は、白衣ということになっているが、しかし、ちゃんと清潔さを保っているのはとても労力のいることなので、たいていの場合、濃厚な垢のため色変わりしている。不潔ということは朝鮮-人の大きな欠陥で、富裕な者でも、しばしば虫がついて破れたままの服を着用している。 (pp. 303-304)

学問は中国の劣化コピー
朝鮮では、ある種の科学研究は国家が保護しているし、またそれらの発展を奨励するため政府によって建てられた専門の学校がある。にもかかわらず、研究はほとんど取るに足りない。正式の天文学者は、毎年北京からもたらされる中国の暦を利用するに必要な知識をもっているくらいで、あとはばかばかしい占星術のきまり文句を知っているだけである。 (p. 307)

何世紀も科学と産業が進歩しない遅れた国
朝鮮-人は、科学研究の分野においてほとんど進歩のあとを見せていないが、産業の知識においては、なおさら遅れている。この国では、数世紀もの間、有用な技術はまったく進歩していない。 (p. 309)

貨幣制度
商業の発達に大きな障害になっているものの一つに、不完全な貨幣制度がある。金貨や銀貨は存在しない。これらの金属を塊にして売ることは、多くの細かい規則によって禁止されている。例えば、中国の銀を朝鮮のものと同じ棒状に鋳造して売ってもいけない。必ずや見破られ、棒状の銀は没収されたうえ、その商人は重い罰金をとられ、おそらく笞刑に処せられるだろう。合法的に流通している唯一の通貨は、銅銭である。 (p. 313)

道路も無い
商取り引きにおけるもう一つの障害は、交通路のみじめな状態である。航行の可能な河川は非常に少なく、ただいくつかの河川だけが船を通すが、それもごく制限された区域の航行が許されているだけである。この国は、山岳や峡谷が多いのに、道路を作る技術はほとんど知られていない。したがってほとんどすべての運搬が、牛か馬、もしくは人の背によって行われている。 (pp. 314-315)

自己保身の為に国民を捨て鎖国する権力者
しかし政府は、おのれの保持のためには必要であると信じているこの鎖国を、細心に固守しており、いかなる利害や人道上の考慮をもってしても、これを放棄しようとしない。一八七一年、一八七二年の間、驚くべき飢饉が朝鮮をおそい、国土は荒廃した。あまりのひどさに、西海岸の人のうちには、娘を中国人の密貿易者に一人当たり米一升で売るものもいた。北方の国境の森林を越えて遼東にたどりついた何人かの朝鮮-人は、むごたらしい国状を図に描いて宣教師たちに示し、「どこの道にも死体がころがっている」と訴えた。しかし、そんな時でさえ、朝鮮政府は、中国や日本からの食料買い入れを許すよりも、むしろ国民の半数が死んでいくのを放置しておく道を選んだ。 (p. 322)

ロシアに食われることが間違いない
アジアの北東部から日増しに侵略の歩を進めているロシア人によって、いずれその難関は突破されるだろう。一八六〇年〔北京条約のこと〕から、彼らの領土は朝鮮と隣接するようになり、これら二国間で、国境問題と通商問題に関してさまざまな難問が起こった。これらの問題は、今後も間違いなく繰り返されるであろうし、いつの日にか、朝鮮はロシア領に併合されてしまうであろう。 (p. 323)
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by fuji_ssss | 2007-01-28 18:25 | korea


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